サマータイムマシンブルース

 傑作と名高い噂の邦画が深夜にフジテレビで放映されるらしい。観られるかな。
 ――観られた。序盤は眠気もあって茫洋としながらだったけれど、田村が出てきたあたりから見入ってしまった。あー、面白いなー。舞台でどう上演されたんかなーとシミュレートしてしまうくらいによくできてる。SF研連中のテキトーっぷりは、いわゆる光画部ノリというか、直撃世代の自分には懐かしかった。ワケのワカラナイ同好会を根城に放課後は他の文化部と馴れ合い、柔道部に籍を置いて格技場で総合格闘技ごっこしたり、生徒会を乗っ取ってみたり、無軌道なTRPGをしたりと、イロコイ沙汰から目を背けるならば、そこそこ楽しい毎日だった気がする。この作品は、そういうおバカな時間にタイムマシンを絡め、魔女アルティメシアの最期の台詞的なセンチメンタルを散りばめ、尚且つ小劇場演目特有の畳み掛けで味つけをした、真っ当な青春映画という位置づけになるのだろう。感動のフィナーレとは程遠い、あっさりとしたラストも、SF研の彼らが既に何物にも換え難いハッピーエンド状態の真っ最中なのだから、今更用意する必要なんてないのだ。とかとか。