ZST

闘って、収入を得る。
 日本人は一対一の戦いが大好きだ。
 300年という年月が生んだ「士道」なるものが、遺伝子に未だ息づいているのかもしれない。相撲、ボクシング、剣道、柔道、空手。野球にしたって投手と打者のタイマンと言えるし、だから日本人に根づいたのかもしれない。そして私も例外ではなくそういうものに惹かれてしまう一人だ。生業、闘技者。くはー、何てかっこよさ。
 と、なんでこんな話をしてるのかというと、今日、たまたま書店に寄ったところ、ゴン格の表紙が所選手で思わず購入してしまったからだ。TBSで全国中継された格闘技イベントにおいて、修斗の王者アレッシャンドリ=フランカ=ノゲイラ選手を破っただけでなく、その攻防で観るものを惹きつけた日本人選手である。全く、本当に良い試合だった。総合格闘の土壌は日本で確実に出来上がりつつあるが、まだ問題も多く、パウンドや四点膝など、認めるか認めないかの基準はおそらく十人十色で結論は出ないようにすら思うし、何より選手がそれ一本で生活できないという大問題がある。修斗がこの問題を解決すべく血道を上げているように外からは見えるのだが、実際どうなのかわからない。よっていまのところは大資本が展開する一大イベントに出て、脚光を浴びるしかない。そこはファイトマネーも高く、勝利を重ねることで自らの価値も高まるステージだ。修斗からも、パンクラスからも、上位選手がそこへ吸収されている。これは悪いことではない。自分を高く評価してもらえる場所で闘うことに否やを唱える者はいない。ただしこの流れでは続かないのだ。100超だけでなく、80、70の体重でも光を浴びる舞台は整いつつある。あと一押し。
 イベントという点ではなく、永続的な流れをこそ。
 闘うという職業が確立される日は、多分、もう、すぐだと信じたい。