ホーリーランド

実写版
 テレ東の深夜枠30分のドラマには「デビルサマナー」や「怪奇大家族」など、野心作が多い。そしてヤングアニマルという雑誌に連載中の同名原作の、この路上格闘モノとでもいうべきドラマもまた、過去のそれと比肩するにふさわしい、いや個人的には大きく超えた傑作である。
 もとより題材はケンカだ。身近であるのと同時に男にとっては憧憬の感情とまではいかなくても、どうしたって切っても切り離せないもの。空手や柔道その他の裾野の広さ、作中の表現を用いるなら「使う人」が多いのは、単純に護身のためとかではない。ましてや出演する役者は若手が多い。強さ。強くあること。街をさまようこと。彼らにしてみれば自分なりに思うところのある、生きてきたなかでリンクする部分の多い作品だったのではないだろうか。与えられた配役――登場人物を役者自身が咀嚼して、何と気持ちよさそうに演じていることか。
 役者だけではない。痛み、躍動、血の匂いといった、現場の熱気すらも焼きつけたかのようなフィルムにはこれまでのテレビドラマにはない迫力があり、製作に携わった関係者の入れ込みようがなければ成しえないものと確信できる。観ていて説得力のある路上格闘シーンがどこまで、あのホーリーランドの雰囲気がどこまで再現できるのかといった開始前の不安は、もはや完全に消え失せてしまった。1クールしかないことが本当に残念でならない。