喧嘩商売(週刊ヤングマガジン連載分)

 トンデモ技が好きだ。
 フツーに考えれば無理だろ、というものでも、その作品のなかできっちりと原理を説明され、ともかくとりあえず騙されてしまうくらいの技が好きだ。そう、つまりは説得力。布団に拳骨を押し当てて、虎砲とか無空波とか、つまりはそんなアレだ。気功格闘まんがの傑作「熱風KIDS」の真神流最終奥義や、稱派の連打による必殺効果の説得力も勿論アレはアレで大好きなのだが、さすがにファンタジーの領域に足を踏み入れすぎて傾いてしまっている。リアルとファンタジーの天秤が、程よく揺れているくらいが気持ちいいのだ。そして「喧嘩商売」という作品のなかで、そんなトンデモ技の筆頭格は「煉獄」だろう。リアルとファンタジーの境界、なんとも心地良いトコロに位置する、本当によくできたトンデモ技だと思う。
 で、今回、そういうトンデモ技好きを刺激する「門」という技が出てきた。必殺技ではなく、驚異的な崩しの技というのがまた心憎い。どんな原理かは不明だが、きっとそれなりの説得力が用意されているのだろう。楽しみだ。
 ああ、でもしかし、玉拳のひとよりは、カブトに勝ってほしいんだよなー。