命日

 ヒルビリーバップスの宮城宗典が亡くなったのが、3月の29日なのだという。私は出遅れたファンなので、この日を強く意識することができないでいる。
 当時の彼は世間的にまだ何かを成したわけでない、デビューして間もないバンドの若いボーカリスト。けれどもその鮮烈な歌声は、きっと既に多くの人間を魅了し、彼の、輝かしい将来を夢見させていたことだろう。当時も、そして今も、彼のようなボーカリストは現れていない。生きていてくれればキャリアのピークを迎えていた筈の彼の可能性は、しかし彼自身の手によって断たれてしまった。翼が泥にまみれても、しぶとくはばたき続けてほしかった。