必殺仕事人2009

 放送延長がなければ、今回と次回とでシメるつもりだったのだろう、その前篇。とても刺激的で、意欲的な内容でした。演出も凝っていて、一昔前の円谷の、個性的な監督の回、あるいはウテナっぽさとでもいうべき怪しい隠喩が盛り込まれていました。また、クライマックスにおいても締めるだけなのか締めたうえで刺すのかよくわからない殺し技の若い仕事人が逆襲されたり、経師屋が殺しの現場で頼み人に割って入られたりと、かなりの冒険。関係ないけど経師屋って今まで何の職人か分かりませんでしたが、障子の張替えとかそういった職種だったんですね。喰ってばっかいるから、ただの遊び人にしか見えなかった。それにしてもバンバン宣伝を打ってただけのことはありとても面白く、続きが気になる出来でした。難をいうなら、小五郎があそこまで冷徹に振舞うことのできる背景が、今回に至るまでにきちんと描かれていればなあ、と。中村主水は仕置人から商売人に至るまでの間に、誰もが納得できる確固とした物語があり、そこには説得力があるのですが、小五郎にはそれがない。彼は既に完成された仕事人として登場しており、それは制作の都合上やむを得ないのでしょうが、であるならば、一話くらいは彼の過去について深く掘り下げたものを提示してくれればいいのになあ、と、ケチをつけてみたくなるほど面白かったわけで。次回まで間が空きすぎだ。