ペースメーカー

 仕事で、ある御老人と話をした。余談で健康についての世間話となり、御老人は自分がペースメーカーを埋めていると切り出した。なんでも最初に埋めた時に保険のきかないタイプを使ったらしく(安定性が従来型を上回るらしい)、料金が一千万くらいしたという。また三年周期で交換しなくてはならず、その都度200万くらいのカネが必要になるという。心臓は命の根幹であり、脳は別格として、何より優先される部位であることは理解できる。……だが、ちょっとくらくらしてくる値の張り具合だ。私の乏しい貯金など、あっという間に底をついてしまう額ではないか。
 健康は尊く、命は安くない。そういう、当たり前の結論に至り、話は終わった。私は何歳まで生きられるだろう。や。ジャンクフードまみれの血管と内臓に期待などできよう筈もないが。