仕事

 やりかたについて説いたりするのは照れくさいし、自分にはさしたる能力もないので、一人のほうが気楽なのは間違いのない事実だ。といっても組まされてる以上は一緒にやってかなくちゃならないので、今のところ自分は若い子が苦手にしてるらしい狩りの仕方を見せている。言って聞かせるよりこっちがやって見せたほうが説得力はあるだろう、との考えからだ。しかし、本命狩りは私にしてからが苦手だったりするから困りものなのだ。それは間違いなく運の要素に左右される部分があり、計画を練ってアレコレ工夫しても徒労に終わることが多い、喩えるならマグロの一本釣りのようなものなのだ。釣り上げるための秘策など、机上の空論が殆どであり、結局は釣り糸を何本も何本も垂らし、ヒットの確率を力押しで上げる「言うは易し、行うは難し」戦法に帰結してしまう。そりゃあ釣り竿一本で1%程度の確率の当たりを待つよりは、百本ずらりと並べて確率を100%にしてしまえば理論上は絶対マグロを釣り上げられるだろうし、実際これが真理なのも経験上理解できる。でもそれじゃロマンもへったくれもない。何より狩りをしていてつまらない。私がつまらないんだから若い子が楽しいと思う筈がない。そんなんじゃ私が伝えたいこともきっと心に入らないだろう。オーケー。ならばと私はいつもの外道狩りを手早く済ませて1%を狙いに繰り出してみた。あー、我ながら無謀なことをしているなーとか思っていたら、こっちもびっくり一発必中。マグロゲットでございます。どうにも出来過ぎでした。まあ、かなりの幸運が働いた結果なんだろうけれど、それを手繰り寄せられるか否かは狩人の決断次第であり、気配を感じたら矢を射るべきなのだということは実感として彼の血となり肉となった……と勝手に頷いて安堵していたいキモヲタがここに一人。