公正な闘いを!

 リンゴォ・ロードアゲインが大晦日の試合を観ていたら、何を想うだろう。
 元旦の毎日新聞はネットの、いわゆる「祭り」を批判的に取り上げていた。しかし、本来ならば新聞が切り込んでしかるべき部分があるのに、それが正常に機能していない。だんまりを決め込んで世論操作をしようとする力があるのだ。ならば小さな光でもネットという虫眼鏡を使って集束し、火をつけるしかない。スイミーのように世間に大きくアピールしなければならない。
 桜庭和志選手vs秋山成勲選手の試合は、それほどに問題がある闘いだった。
 当日、解説を務めていた畑山さんは某亀田の試合でも度々奥歯にモノが挟まった言い方をしている。そのためか、昨年末の防衛戦では解説から外されている。宇野選手は現役の総合格闘家で、完全には染まっていない。パンクラスを立ち上げた船木さんもかつては総合の試合を経験している。その三人が桜庭選手からのアピールを認めている。なのに間近で試合を裁いているレフェリーは見当違いなことをして桜庭選手のアピールを無視している。グラウンドの展開になったらダメなのか? スタンディングなら金的をアピールすればチェックが入る。試合が止まる。桜庭選手は試合経験が豊富だが、こういったアピールをよくする選手ではない。その桜庭選手が異常を訴えている。ところが無視だ。なんだこれは?
 「なんでもあり」の世界基準の闘いが日本を席巻したとき、足関節を得意とした修斗の選手は軒並みマウントからのパウンドという、コロンブスの卵の前に敗北を喫した。その当時に事故が起こっている。第二次UWF時代では負け役も務めたジェラルド=ゴルドーは、修斗の実力者であった中井祐樹選手の右目を潰しているのだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BC
 なんでもありだが、そこには最低限のルールがある。殺し合いではないし、勝てば何をしてもいいわけじゃない。柔道家だから何だ? 試合直前まで胴衣を着けるか否かの選択権が予め付与されているっていうんですか? それを目眩ましに試合前のボディチェックを逃れようとするなんてどこの卑怯者ですか。まして過去にも同様のケースで対戦者からクレームをつけられていれば、普通は自ら必要以上に気を遣ってしかるべきところを、それでもなお、だ。呆れてモノが言えない。
 格闘技雑誌はこの試合をどう取り上げる? 一行か二行だけ触れておしまい……という状況が目に見えるようだ。元旦のサンケイスポーツがそうだったように。じゃあせめて、ネットで自ら情報を見極めようとする人に材料を残すべきではないか。いまは昔とは違う。レアとされたウルトラセブンの12話、怪奇大作戦の「狂鬼人間」、前田vsアンドレの映像も容易に視聴できる。桜庭vs秋山の試合もこの先ずっと、ネットの海を漂っていくことだろう。誤魔化しは効かない。何が正しくて、何が間違っているのか。真実はどこにあるのか。本当に本当のところは、さすがに当事者でないとわからないだろう。それでも、限りなく近づくことはできるのだ。